2024年11月28日木曜日

文献検索 "X-ray photoelectron spectroscopy of morpholinium ionic liquids: Impact of the long alkyl side substituent on the cation-anion interactions"

"X-ray photoelectron spectroscopy of morpholinium ionic liquids: Impact of the long alkyl side substituent on the cation-anion interactions"

                  モルホリン

Fig.1

Fig.2

この論文は、X線光電子分光法(XPS)を用いてモルホリニウムイオン液体の特性を調査したものです。主な知見は以下の通りです:

1. 9種類のモルホリニウムイオン液体がXPSで分析されました。

2. アルキル鎖長がC 1s結合エネルギーに与える影響が研究されました:
   - 塩基性の低いアニオンでは、アルキル鎖が短くなるにつれてCaliphatic 1s結合エネルギーが増加しました。
   - より塩基性の高いアニオンでは、aliphatic C1s結合エネルギーは一定でした。(aliphatic:脂肪族)

3. アニオンの塩基性がカチオンのN 1sとO 1s結合エネルギーに与える影響が調査されました:
   - アニオンの塩基性の変化は、酸素中心の電子環境により顕著な影響を与えることがわかりました。

4. 長鎖アルキル側鎖がカチオン-アニオン相互作用に与える影響が検討されました:
   - オクチル(炭素数8)とドデシル(炭素数12)側鎖で強い電荷遮蔽効果が観察され、Br 3d5/2結合エネルギーの低下として反映されました。

5. C 1s領域の3成分モデルを用いたフィッティングモデルが開発されました:
   - oxy C1s: 酸素に直接結合した炭素原子
   - hetero C1s: 窒素に直接結合した炭素原子(ヘテロ:異質という意味で、炭素と水素以外、例えば、窒素、リン、硫黄などの原資を指す)
   - aliphatic C1s: 炭素と水素にのみ結合した炭素原子(aliphatic:脂肪族。炭素のみが連なっている構造)

6. モルホリニウムイオン液体は、低毒性、高リサイクル性、生分解性の特性から、グリーンケミストリーでの応用が期待されています。

この研究は、モルホリニウムイオン液体の構造と特性の理解を深め、特定の用途に合わせてイオン液体の特性を調整するための指針を提供しています[1]。

Citations:
[1] https://ppl-ai-file-upload.s3.amazonaws.com/web/direct-files/43661127/852c9d6c-f100-4834-b51c-c8740ac685b1/Shuang_XPS_IL_2022.pdf

質問:炭素鎖の長さとXPSにおけるC1sピークにどのような関係がありますか?

回答:
炭素鎖の長さとXPSにおけるC 1sピークの関係は、アニオンの塩基性によって異なります:
1.塩基性の低いアニオン([Tf2N]-)の場合:
・炭素鎖が短くなるとC 1s結合エネルギーが増加します。例えば、n値が8から4に減少すると、Caliphatic 1s結合エネルギーが0.2 eV高くなります。

2.塩基性の高いアニオン(Br-)の場合:
・炭素鎖の長さによるC 1s結合エネルギーの変化は観察されません
・エチル基からドデシル基まで、Caliphatic 1s結合エネルギーは同一です
この違いは、カチオン-アニオン相互作用と炭素鎖の誘導効果のバランスによって説明されます:
・塩基性の高いアニオンでは、強いカチオン-アニオン相互作用が炭素鎖の誘導効果を弱めます
・塩基性の低いアニオンでは、弱いカチオン-アニオン相互作用により炭素鎖の誘導効果が顕著になります

これらの観察結果は、イオン液体におけるカチオン-アニオン相互作用の理解に重要な情報を提供しています。



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