2021年4月29日木曜日

文献紹介:Guide to making XPS measurements on nanoparticles (part3)

 A.Washing and separation from solution
図2に示すようにナノ粒子の溶液からの分離は多くの場合、透析(dialysis)、遠心分離法(centrifugation)、ダイアフィルトレーション(diafiltration)もしくは、これらの組み合わせで行われる。Aの「flash dry」フィルタリングプロセスは反応環境から粒子を抽出するのにうまく用いられる。用いるべき明確な手順は経験と関連した実験室、そして資料の性質に依存する。例えば、低濃度、もしくは粒子径が5-10nmと小さい粒子に対して遠心分離機は時間の消費、そして非効率である。透析にかかる時間が長ければ長いほど、本来不安定な粒子や、粒子コーティングにとって、互換性がなく異なるものとなる。
 透析とダイアフィルトレーションは時としてナノ粒子を合成する際にも使用される。Techaneらは溶液中にあるSAM膜で被覆された金ナノ粒子から、余分なチオールとイオンを取り除くのに利用し、以下に述べる他の遠心分離法よりも効率的に純度をあげることを発見した。
 遠心分離法は溶液中の粒子濃度をあげ、粒子が入っていない上澄み液を排出し、きれいな溶媒中に粒子を分散させることができる。この遠心分離法は不純物を除去し、望む清浄度を達成するまで複数回、実施されることがある。ダイアフィルタレーションは連続したフローシステムであり、Sweenyらは、透析、もしくは溶媒洗浄によって濃度の高いナノ粒子を作れることを発見した。
 どの程度の清浄度が必要であるとか、どのプロセスが最も効率的であるかを問うのは当然のことである。La Spinaはクエン酸安定金ナノ粒子におけるこれらの問題に直接言及している。彼らは、粒子を洗浄するのに、2回の遠心分離は4時間サイクルの透析を12回行うことと同等であることを発見した。この研究の中で、遠心分離によって得られた粒子はより効率的に機能することが分かった。また、研究者達によると3回遠心分離を行うと、粒子がより集まり、分散しにくくなる。これらは粒子をどの程度のクリーニングが有用、もしくは効果的であるかを理解し、粒子を分析するのに有益な情報である。
 Nurmiによって記述されたフラッシュドライングフィルタリングプロセスは溶液中で活性であり、分析のためにその反応を止めるたて粒子を分析するために設計された。このフラッシュドライング法において、粒子は真空装置を使って制御されたグローブボックスの中で溶液から除去される。元々の溶液を取り除くために粒子をフィルターに注いだ後に、アセトンのような吸湿性溶剤ですすいだ。このプロセスによって時間とともに化学状態を変化させる粒子の凝集を防ぐのに有用であることが分かった。
 多少の炭素残基は通常、洗浄後のナノ粒子表面に残っている。注意を払うことによって、この種の汚れを最小にできれば、その過程が有効かどうか、改良されているかどうかといったことを比較するのに役に立つ。Wangらの金ナノ粒子の研究によれば、汚染層の厚みは0.05nmかそれより薄いくらいが良いようである。


 

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